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飛行機「ボーイング家の翔んでる金さん、銀さん 」 

20世紀以降の乗り物の王者はなんといっても飛行機!だと思う。
最も評価されるのはそのスピード。
それを実現するための、合理性を追求した美しいデザイン。
自動車もそのデザインについて語られる事が多いけれど、空力的な合理性を求められる度合いはその比では無い。
なにしろ空中に浮かばなくてはならないし、そのためには無駄なくスピードを出し続けなくてはならない。
なので、エンジンは空中でエンストすることを許されない。
そんなメチャ厳しい条件のもとに形づくられる超合理的な形状は、人の手による最も美しい造形物と言えるだろう。

で、飛行機のスピードだけれど、今から108年前、ライト兄弟が飛ばした飛行機の時速が48km。
皮肉なことに現代の飛行機の構造では、こんなに「遅く」飛ぶことはできない。
現在、一般の人たちが経験できる最高飛行スピードは時速1000km。
ジャンボジェットやエアバスなど、ジェット旅客機がこのスピードだが、実際のところ乗客としてそんな速度が感じられるわけではない。
現役の戦闘機なら音速の約2.5倍、約2500kmものスピードで飛行できる。
大雑把に言えば、人類はこの100年余りで初飛行の50倍のスピードを手にした事になる。

飛行機のスピードについてはなんとなく感覚ありだと思うけれど、興味深いのは、その寿命だ。
航空機の開発には優秀な人材と莫大な予算が必要で、それ故に、航空機メーカーはたくさん作って量産効果を上げること、軍やエアラインといったカスタマーは長く使って対費用効果を上げることを目指す。
これが、なかなかそう上手くはいかないのだけれど、時としてかなりの長寿飛行機が誕生している。
その代表格がベトナム戦争で名を馳せたB-52爆撃機とおなじみのB-747ジャンボジェット旅客機。
片や軍用機、片や民間機ではあるが、どちらもなかなかのご長寿である。

B-52爆撃機は1955年に米空軍に配備された。
いずれ超音速爆撃機にとって変わられるだろうと言われながら、2012年で就役から57年目となり、いまだ現役である。
750機近くが生産され、1960~63年頃に生産された機体に近代化改修(機体の強化、電子機器のアップデート、エンジンの換装など)を加えに加えて71機が今も現役として運用されている。
今後の改修も計画されているらしく、ひょっとしたら100歳万歳!になるかも。
B-52H縮小

一方のB-747ジャンボ旅客機は1970年に就航。
この42年間に1500機近くが生産された。
さすがに、42年間使い続けられた機体は無いけれど、基本設計は変わらぬまま、様々な派生型がいまなお生産され続けている。

共に、100年余の航空機の歴史の中で、その半分の歳月を現役機として君臨して来たことになる。
日進月歩の進化を遂げる航空工学とそこから生み出される数々の新鋭機を横目に、どっかと腰を据えて、働き続けて半世紀。
なんと、どちらもボーイング家、いやボーイング社から誕生している。
ご当人たちには迷惑かもしれないが、ふと金さん、銀さんを思い出してしまった。



■ジャンボジェットの誕生は、ボーイング社が、米軍の
大型輸送機開発コンペに負けた事に始まる。
ロッキード社が勝利し,C-5ギャラクシー輸送機が製造
された。強度問題やら高コストで政治問題を引き起こし
ながらの生産機数は131機。
民間転用されたジャンボジェットは1500機超えの
大ヒット。ビジネスではボーイング社が圧倒的勝利を
おさめた。


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飛行機「日本に、世界で唯一無二の飛行艇がある事を日本人は知らない」

昨年、尖閣諸島で中国の漁船が巡視艇に突っこんだ翌月、この飛行艇は、遠く太平洋上の中国貨物船から急患の中国人船員を救い出している。
今年1月、沖縄のはるか南420海里の洋上、火災を起こした船舶から逃れた6名の乗組員をこの飛行艇が救出している。
同じく1月、小笠原諸島、父島の急患を羽田までこの飛行艇が搬送している。
海上自衛隊 岩国基地に本拠を置く救難飛行艇 US-1、US-2である。
お気づきかと思うが、すべてが波の高い外洋に着水しての救難任務だ。
こんな状況の中で離着水できる航空機は世界中にこの機をおいて他に無い。
米軍の戦闘機パイロットを洋上で救出したこともある。空母の救難ヘリコプターでは航続距離が足りず、速度も遅いので対応できなかったからだ。
US-1ブログ縮小

US-1やUS-2の本来の任務は,戦闘機パイロットをはじめとする自衛隊員の救出だ。けれども、実際のところ、自衛隊機がそんなに頻繁に海上に墜落するわけでもなく、島嶼地域からの患者搬送や船員や漁民の救出任務が多くを占める事になる。
これら、一般人の救出、救難は、災害派遣任務として遂行されている。
1976年の正式運用以来、実に700人近い民間人がこの飛行艇に救われている。この中には、前出のような中国人をはじめさまざまな国の船員、漁民も含まれている。

日本の主要なメディアは自衛隊の功名をよしとせず、ちゃんと報道しないので、日本人の多くが、こういう事実を知らない。

さて、この飛行艇になぜこんな芸当ができるのか。それは、高度なSTOL性能―短い距離での離着水性能―によるもので、この能力は専用のエンジンを搭載したBLCと呼ばれる高揚力システムによってもたらされている。これによって、わずか300メートル足らずの滑走で水上にふわりと着水し、ふわりと離水することができる。着陸速度は時速100キロ程度で、同じクラスの航空機の約半分に過ぎない。(ジャンボ機で250キロ程度)
ただし、これだけの性能をもってしても、外洋の3~4メートルにも達する波を避け、うねりの底の部分―それはとても狭い水面なのだが―めがけて着水するのは至難の技で、 パイロットには非常に高い操縦技量と根性(要するに、めちゃくちゃ恐ろしいのだ)が求められる。波をくらえば、最悪、機体は粉々に砕け散ってしまう。

この飛行機の父は、第二次世界大戦の日本海軍の名機、二式大艇だ。
直接水に触れる艇体部分の基本形状は、この時代のものとほとんど変わっていない。
完成度の高さは、第二次大戦後、本国に持ち帰って評価試験をした米軍の折り紙つきである。その設計思想が今日の機体に受け継がれ、活かされている。
メーカーは新明和工業で、その前身は川西航空機。あの紫電改を作った会社としご存知の方も多いと思うが、知る人ぞ知る飛行艇メーカーの名門である。本社は宝塚にあるが、飛行艇は今も、神戸市東灘区の甲南工場で製造されている。

私は中学生の頃、芦屋の海岸に近くに住んでいたのだが、試作機のUFX-1が我が家の小さな庭をかすめるように飛んでいたことをよく覚えている。飛行機オタとしては、まことに恵まれた環境にあったと言える。飛行機を追うように、芦屋川の河口まで行くと、繰り返し行われる離着水試験がよく見えた。それは、1,000メートル以上の滑走路を必要とする陸上機の離着陸とは全く違う光景であった。その様は、水鳥が翔ぶがごとく、降るがごとく、ポチャリという水音が聞こえてくるような、ふわりとしたものであった。

US-1は今から40数年前の1967年、世界で唯一つの対潜飛行艇PS-1として開発された。高い波の外洋に離着水できる能力は、海中にソナーを吊り下ろして敵の潜水艦を発見するために必要な性能であった。
そして1976年、この機体に陸上の滑走路で離着陸できる着陸タイヤを付け、新たな装備を施した救難飛行艇US-1が誕生した。
以後の活躍は冒頭に述べた通りである。

2009年3月、新鋭機US-2がこの任務に加わった。
US-1をベースにしたこの機体、見た目の大きな違いは、先進的な6枚ブレードのプロペラだが、US-2の最も重要な変化は外見からはわからない。それは、初飛行から40数年を経て初めて、民間の旅客機のような与圧キャビンを持ったことである。
これにより、高い高度(高度6000mあたり)での飛行が可能になり、雨や風の影響を受けずに揺れの少ない安定した飛行ができるようになった。これは、救出した人や患者にとってとてもありがたい環境だ。また、悪天候を避けて迂回飛行をする必要が無く、現場や搬送先へ最短、最速で飛んで行くことができることを意味する。
救難という一時を争う任務を遂行するための大きな能力が付加されたのである。
基本のしっかりした機体を、40数年の歳月の中で着実に進化させ来た様は、消費を煽るためだけの無意味なモデルチェンジや機能の付加を繰り返す、日本の車や家電製品のモノづくりの姿勢とは対極にある。

戦後開発された日本の航空機の中で、YS-11でもなく、T-4でもF2戦闘機でもなく、US-1/US-2飛行艇は、
紛れもなく世界に誇る名機なのである。

再び言うが、
日本の主要なメディアは自衛隊の功名をよしとせず、ちゃんと報道しないので、日本人の多くが、こういう事実を知らない。



プロフィール

テッペン爺

Author:テッペン爺
昭和22年(1947年)
京都に生まれ、
芦屋に育ち、大阪を経て
現在は芦屋に在住。
身長178㎝ 体重75㎏
販促企画のプランナーとして
適度に活躍(?)して33年。
現在に至る。

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