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映画「風立ちぬ ― 宮崎駿×小澤さとる+百田尚樹×団鬼六=零戦」 その1

この数式ともつかぬものはなんでしょう? =零戦なんですが
ジブリの新作、「風立ちぬ」が間もなく公開されます。
宮崎のこの物語というか漫画が忽然と登場したのは2009年。
モデラー向け雑誌「モデルグラフィツクス」 (大日本絵画) に連載されました。
毎度のごとく、宮崎駿の妄想ノート方式で、登場人物は豚を擬人化して描かれていたと、記憶しています。
ナウシカは映画化されたわけですが、このシブくて地味な話(わたし的には大好きですが)、
これはやらんだろうと思っていたので、シネコンで巨大な予告ポスターを見た時はびっくりしました。
名機「零戦」の設計者として知られる堀越二郎の物語です。
柳田邦男の小説「零戦燃ゆ」に設計現場の苦闘が活写されていますが、
ほぼそのあたりのエピソードが核になっていると思われます。

さて「黄色い零戦」とはなんでしょう?
これも、同じ堀越二郎と零戦開発現場を描いた漫画で、作者は小澤さとる。
そう、私たちが子供のころ、「サブマリン707」「青の6号」でリアルな潜水艦の世界、戦いを見せてくれた
漫画家です。


「黄色い零戦」は約25年前の1988年、単行本として発売されています。知る人ぞ知るといった作品ですが、
読んだ人からは総じて高い評価を得ています。私自身も、その静謐さにある種の凄みといったものを
感じました。
先日、あるテレビ番組でスタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫が、「今度の映画(風立ちぬ)では
効果音に擬音を使わない」といった趣旨の話をしていました。
「黄色い零戦」でも、ブルルとかダダダッとか、爆音や銃撃音など一切の擬音が描かれていません。
怒りのマークや汗のしずく、怒鳴り声の吹き出しも、スクリーントーンも使われていません。
とても静かな漫画ですが、それゆえに言葉に出さぬ情熱や決意が感じられ、それ故の凄みが見えたのだと
思います。
「風立ちぬ」も映画として、アニメとして同じような佇まいになるのだろうと思っています。
「黄色い零戦」と「風立ちぬ」は陰陽の存在だと思うのです。
どちらが良くてどちらが悪いということではありません。それぞれの役割があるのだと思います。
「黄色い零戦」は柳田邦男の小説「零戦燃ゆ」での開発エピソードや堀越二郎の人となりを見事に
ビジュアル化しました。
「風立ちぬ」は、戦争を知らない世代、航空機や戦争に関心や想いを寄せぬ人にも、
劇場に人を呼び寄せる力量を以てあまねくその有り様を流布してくれることになるでしょう。

それにしても、宮崎駿が実在の人物を描くのははじめてです。
そういえば 黒澤明晩年の監督作品は実在の人物、内田百閒をモデルに描いた「まあだだよ」だったのですが、
これがなんともつかみどころのない映画で・・・・
いやいや、いらざる心配は止めておきましょう。

先日のNHKの巧妙な映画宣伝的ドキュメントで、「人間・宮崎駿」なるキャッチが立っていました。
そうか、72歳となって人間にお戻りになられたのか。
「もののけ姫」やら「千と千尋の神隠し」やら「ハウルの動く城」やら「崖の上のポニョ」やらと、
長らく上目線かつ難解な訴求で劇場に無辜の観客を誘い出して来た天才・宮崎駿が、
タイトルから「の」の字を抜いて心機一転!人として、どのような物語を私たちに授けてくれるのか。
映画の公開日は7月20日。
“となりのトトロ”がとうに見えなくなってしまった66歳の期待は高まるばかりなのです。

では、戦場に送り出されて行った零戦はどのような運命をたどったのか。
その最後を見届けた作品が、百田尚樹「永遠の0-ゼロ」(今年、映画公開予定)であり
団鬼六の「往きて還らず」なのです。そしてこの2作品もまた陰陽の関係にあります。
それについては、次回、
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映画 「 対決『阪急電車』 VS 『プリンセス・トヨトミ』 」

この2作品を対戦モードにしたのは、
映画の製作スタッフ同士が敵対しているからでもなく、
原作者の有川浩と万城目学の両氏が反目しているから
でもない。

先日BSで、湊かなえを加えた3氏のトーク番組が
放送されていた。まさに、今をときめく旬なメンツである。
万城目学 大阪出身 京大卒、
有川浩(ひろ・女性) 高知出身・在住 関学卒、
湊かなえ 尾道出身、武庫川女子大卒、淡路島在住。
みんな、関西に縁(ゆかり)のある人たちだ。
映画の舞台も同じ関西エリア。
たまたまなのか、計算づくなのかよくわからんが
有川、万城目両氏の原作が、ほぼ同時期に映画化され、
公開されている。
しかも、興業的にはどちらも大健闘で、7月3日(日)時点で
まだ公開されている。(7月15日までらしい)
共にヒットはしているがしかし、
その出来栄えは対極にあると私は思っている。

ということで、ちょっとしたいたずら心で、
私が勝手に俎上に載せただけのことではあるが、
きっと、作家の熱心なファンからは、
かなり叱られるだろうなあ、と恐れつつ、書く!

主役、脇役のネームバリューや派手さで言えば、
わずかに「プリンセス・トヨトミ」に分が有るか。
でも、そんなに差は無いと思うので、
監督の演出力と脚本の出来栄えが問われることになる。

もともと、どちらの小説もテンションの高いものではない。
意外に思われるかも知れないが、特に「プリンセス・トヨトミ」は
かなり平板で、これが直木賞候補であったとは驚きだ。
小説を先に読んだのだが、正直、映画でこれをどうやって
盛り上げるのか、いたく興味を覚えた。
シーンのことではなく、観客の心をどこで、どう叩くか、
という意味においてである。
これが、私に劇場へ足を運ばせる原動力となった。

さらに、「プリンセス・トヨトミ」は読み進んで行くうち、
いったい誰が主人公で、誰に感情移入すればいいのか、
わからなくなってしまった。
主役級が6人くらいいるのだが、小説での戸惑いは、映画でも
解消される事は無かった。
片や「阪急電車」も主役は複数、というか、なんと8人もいる。
しかし、こちらは逆に、すべての主役たちに気持ちを寄り添わせる
ことができた。

ここで、勝負アリ!
圧倒的に、「阪急電車」の勝ち~
なのだ。  
※注意!この先ネタばれになります。それと、とっても長いです。

監督の力量もあるけれど、それよりも「プリンセス・トヨトミ」は
ちゃんとした伏線があるにもかかわらず、シナリオが上手く
編まれていない。
2時間10分もの時間があるのに、エピソードの取捨選択を完全に
間違っているので、ストリーに説得力が無く、観客にはどうにも
納得できない話になってしまっている。
はっきりいって、製作サイドの検証不足である。

「阪急電車」では、主人公はこの人たちでございという説明が
あって、そのすべての人たちに、毎シーン、毎シーン、
観客が応援したくなってしまうようなシークエンスが
用意されている。
「あるな、こういう事」が見事にカリカチュアライズされて、
それが観客を2時間10分という長丁場に飽かず浸らせる。

さて、どちらの映画にも当然のことながら、
『この気持ちが、怒りがわかるか!』といった見せ場がある。
これがどうにもイケない、「プリンセス・トヨトミ」は。
茶子という女子中学生が怒りに駆られて、空堀商店街で番長に
跳び蹴りを喰らわせるシーン。原作を読んでいてひそかに
ココだなと期待していたのだが、実際には・・・

『蜂須賀ぁ~!』→ 声が上づっていて怒り感じられず。
と番長を呼び     これがOKテイク?
とめる茶子
<茶子の跳び蹴り>→ 跳べてないないし、蹴りがキマッてない。
              このカット割りでは迫力無し。
              ストップモーションと
              スローモーションの組み合わせで、
              とてもいいシーンがつくれたのに。
スローモーションといえば、綾瀬はるかが商店街を駆け抜ける
シーンに多用されている。彼女のカクレ巨乳がユッサユッサと
揺れ動く様は圧巻で、もちろん個人的にはOKだが、
映画として何の必然性も無い。
スロモの使いどころ、これまた間違ってしまった。

「阪急電車」の見せ場は、DV男との別れ話のシーン。
― 喫茶店で交わされる、落ち着いた、それでいて憤怒の情を
秘した静かな会話。話がついて、友人の女性が男から
ケータイを取り上げ、それを二つに『バキッ!』と
逆さ折りする。
観客の多くが息を呑み、多くの女性が「あっ」とか「きゃっ」とか、
声をあげていた。
― そして折れたケータイを、目の前のコップにドボリと漬ける。
これで、観客はもういちど息を呑む、という仕掛けだ。
見せ場というものはこうでなければ。

さて、〈映画的〉リアリティで言えば、
実際の沿線の、その素敵な街の佇まいで映画の空気が醸し出せる
「阪急電車」は有利だ。
一方、「プリンセス・トヨトミ」は無人の大阪市内がウリになって
いて、これがちゃんと出来ていれば、結構いい感じになっていた
かも知れない。
結果から言えば、嘘でもこうはならないという、期待はずれの
ものだった。
例えば、人気の無い街中には綾瀬はるか一人ではなく、
その向こうに東京や地方から出張して来たとおぼしき数人の
サラリーマンが茫然としているとか、
(遠くからアウトフォーカスで)
家の中でひっそりとたたずむ妻や子の姿とかが必要なのだ。
こいう押さえは小説でもなされていなかった。(これもシラけた)
無人の大阪に主人公が一人。「アイ・アム・レジェンド」じゃ
あるまいし、大阪の昼間、あるいは夕方の流入人口を考えれば、
こんな絵ヅラ(映像)は有り得ない。
この映画にはどこまで行っても、シナリオ段階での検証不足が
付いて廻る。

映画の終盤、「阪急電車」ではとても上手く主役の人々が交錯し、
心地良い収斂(しゅうれん)感で充たされる。
逆に「プリンセス・トヨトミ」は、原作にあったとても重要な、
絶対に押さえなくてはいけないシークエンスが抜け落ちている。
やくざのメンツよりも、父親から息子へ語り継がれる大阪国の掟の
重さ。そして、空堀の街で生きて行く家族のこれからを暗示する
重要なシーンなのに、である。
ゆえにカタルシスも無い。

映画のジャンルは違っても、「プリンセス・トヨトミ」も「阪急電車」も
根底にあるのは家族や人との絆である。
それを上手く語れた「阪急電車」、語れなかった「プリンセス・トヨトミ」。

以前ブログで、「阪急電車」は沿線住民にとって、一家に一枚のBDに
なりますね、と書いた。
でも残念ながら、「プリンセス・トヨトミ」に、空堀商店街や大阪の人達に
BDの購入をお奨めできるほどの、良い意味でのローカリティは無い。

両作品は共にロングランヒットしている。これが口コミ効果によるもの
だとすれば、「プリンセス・トヨトミ」にここまでダメ出しする私は
間違っているのかも知れない。
が、
映画を観た直後、私は周りの人たちにこう言った。
「プリンセス・トヨトミ」
読むなら観るな。
観るなら読むな。


ボイストレーニング

映画「世界一素敵な映画 阪急電車―片道15分の奇跡 関係各位へ」

原作者の有川浩さん、世の小説の映画化で、成功した作品が少ない中、
こんなに見事に映像化されて、よかったですね。
事のついでに、あなたの自衛隊三部作、
「塩の街」「空の中」「海の底」+「クジラの彼」を
誰か映画化してくれませんかねえ。
あなたの事を、高知の女性&主婦&軍事オタ小説家などと侮らぬ、
ちゃんとした監督で。

関西テレビの三宅喜重さん、初監督お見事でした。
数々のドラマで優れた演出力を発揮してきた人にとっては
当然のことではありますが。

脚本の岡田恵和さん、恐れいりました。
輝かしい実績をお持ちの方ゆえ苦も無くだとは思うのですが
観客を混乱させない巧みな構成に感謝します。
シニアは気取った複雑なストーリーは苦手なので。

出演者のみなさん、誰もが主役に見えましたよ。
みなさんの演技力と、それを最大限引き出してくれた
監督の優れた演出力の賜物ですね。
おばちゃん軍団のみなさんがすごい!でも、
ほとんど地(じ)ですね。

製作スタッフのみなさん、この作品に携わることができて
よかったですね。
スタッフの誰がどのような役割を果たされたのでしょう。
ずらりと兵庫県出身者を並べたキャスティング。
東京弁の宮本信子さんを逆手にとった、阪神間の山手独特の
見事な標準語イントネーション。
東大よりも慶応よりも関学という阪神間の人々の想いを映像化した
関学のシーン。
そのほか、駅や街並みのあちこちに散りばめられたコアなこだわり。
このエリアの日常感が巧みに描き出されていて、
スタッフの間で、侃侃諤諤、さぞや楽しき(?)議論があったのではと
想像する次第です。

世界一上品な私鉄、阪急電鉄のみなさん。
世界一気品に満ちたあずき色の車体が
映画の背骨をしっかりと演じきってくれましたね。

かんべむさしさん、お元気ですか。
あなたが、阪急と阪神が今津で接続していることに着目して
描かれた小説「決戦・日本シリーズ」。
阪神電車乗客=阪神タイガースと
阪急電車乗客=阪急ブレーブス(現オリックス)のファン意識に
阪神間の山手と海側住人の意識をなぞらえて
その人間模様をとてもユーモラスに活写されていましたね。
勝ったチームの電車が、負けたチームの路線に乗り入れて
凱旋走行をするという、抱腹絶倒の展開でした。
後半は上下段構成で、タイガース優勝と
ブレーブス優勝のストーリーに分けるという
画期的(?)かつ秀逸なアイデアも盛り込まれていました。
あれから三十数年、同じエリアが小説として描かれ、
ハートウォーミングな映画となって還って来ました。
原作者はあなたと同じ関西学院出身。
これは奇しくも、なのでしょうか。だから、なのでしょうか。

エキストラのみなさん、知人に大いに自慢できますね。

今津線沿線住民のみなさん、孫子の代まで語り継げる
宝物ができましたね。
一家に1枚ブルーレイディスク!

私はと言えば、
宝塚南口駅、
宝塚ホテルのティールームと
イタリアンレストラン「アモーレ・アベーラ」は
若き日の極上デートコース
逆瀬川駅、
「君住む街角で♪」
いささかの縁(ゆかり)を持ったひとが住んでいた
小林駅
「おばやし」なんだよ、と同じ関西人にしたり顔
仁川駅
若いボクらのピクニック場~
門戸厄神駅
中学時代の親友の親が住んでいた、ただそれだけ
西宮北口駅
映画にも映っていたが
駅前の進学塾に週に2回、いやいや通っていた
なので、この映画に対する絶賛度は一割増になっています。

最後に、この映画にすでに乗車された観客のみなさん。
いい時間が過ごせましたね~。

私の信頼する映画評論家氏は自身のWebサイトで、
映画のプロ然と2時間は長い!と言いつつ、
それをふにゃりと容認してしまってるんです。
なにせ、観るものに心地良さを与え続けてくれる、
素敵な作為の連続なのですから。
私なら、3時間だってOKです。
ただしその場合、シニアや女性の観客も多いと思うので
トイレのためのインターミッションは必須です。


映画「R・スコットが私に刑事役をくれた!?ブラックレイン」

今からおよそ20年ばかり前、映画「ブラックレイン」が公開された。
ロケの大半が大阪ということで、関西は大いに盛り上がった。
吉本をはじめとする関西系の芸人や役者が大勢起用され、その中には今や名脇役として
活躍中の國村隼さんもいた。

同時に多くのエキストラが大々的に募集され、その中に私もいた。
いちびって同僚と応募したのである。
応募条件は、写真添付という念の入りようであった。(エキストラなのに)
採用通知が来てびっくり。自前の自転車で堺の新日鉄の工場まで来いという。
アホらしいから断ると、深夜の戎橋ロケにと乞われた。
橋を埋めつくす野次馬の一人として。
ところが、現場に行くと、知り合いの男性外人モデルがいた。
「ロンドンへ帰る言うてたのになんでここにおるねん」てな事をKansai Englishで言うと
主役のマイケル・ダグラスのカメリハ用のスタンドインとして雇われたと言うではないか。
顔つきは全然違うが、身長やボリューム感が似ていたからだと思う。(監督と同じイギリス人だし)
で、やおら彼は「紹介する」と言い放ち、私を、監督リドリー・スコットのところへ連れて行った。
いやもうびっくりしたのなんの。握手をして、もぞもぞと「光栄です」てなことを言った。
通じてたのかどうかは知る由もない。
その場を離れると、後ろから日本人の助監督が追いかけてきて、監督があんたを刑事役に使えと
言っておると告げられた。またもや、びっくり。

私は御堂筋の西側に待機しているロケバスに連れ込まれ、ゲイの日本人スタイリストに
白のワイシャツを着せられ、ネクタイを締められ、顔面を少しパフられ、おまけに
「素敵♡」なんぞと言われても、相手が相手だけに、なんともはやのシチュエーション。
コートは私のコロンボ風のものでそのままOKとなった
ロケは、戎橋(通称ひっかけ橋)のキリン会館前、現在は建て替えられH&Mが入っている。
現場は、白バイやさまざまな警察車輛が置かれ、警官、刑事、新聞記者役のエキストラでごったがえしている。

私は、戎橋をふさぐように停められたパトカーの前で待機するよう指示された。ここでこの日最大のびっくり!
パトカーにもたれかかって待っている私の横に、高倉健、アンディ・ガルシア、主演のマイケル・ダグラスがやって来た。
私を含めてこれが、日米の刑事チームなんだそうな。
ど素人の私がこの3人とともに、ナイトクラブに見立てたキリン会館に突入して行く!って、え~~
それも縦一列に密集して、私は殿(しんがり)を務めさせられた。
これを何回もやらされた。
この間、4人ずっと一緒だが、待ちの時は、健さんもマイケルも無言。アンディは陽気でジョーク(わからんけど)を飛ばし
続ける。実は私は、アンタッチャブル以来彼の大ファン。イメージ通りでよかった~

次のシーンでは、参考人のチンピラをキリン会館から連行しパトカーに放り込むことに。
新聞記者がまとわりついてくるのを押しのけながら、「長さん、誰なんすか彼」「だめだめ、後で、後で」などと勝手に
台詞をまわしていく。う~ん、ど素人にここまでやらすか
どこかの劇団に所属しているとおぼしき新聞記者役の青年が、どちらの劇団の所属かと聞いてきたので、
一般応募のただのエキストラだと言うと、唖然として声も無く去って行った。

私の出番はこの日だけ
翌日の夜、この日も出番のある同僚の応援に出かけると、白バイ警官や他の刑事役の人たちが「ごくろうさまです」と
敬礼して来て、びっくり。
主演級のスター達とウロウロしていたど素人は、地域限定でちょっと有名になっていた。

撮影が終わると、待ち遠しや公開日。
優先的に試写会のチケットがもらえたので、試写会場にとんで行った。
場所は、今は無き、朝日放送のABCホール(移転)。
映画がはじまって間もなく、それはびっくりどころでは無く、衝撃となって私を襲った。
あの私の渾身の演技の、主役級3スターと共に演じた、あのシーンが、見事に本編には無かった!
聞くところによれば、監督のお気にめさなかったらしく、ロスで撮った別のシーンを
使ったらしい。私のせいであろうか?

それにしても、本当に忘れ難い思い出である。
私はこの十数年、ボツになったフィルムから登場シーンを捜してもらうべく、「探偵ナイトスクープ」に投稿するべきかどうか、
煩悶し続けて来た。
ま、見つかっても、スター3人の顔も出るので、放映は困難だと思うけれど。
私のまわりにいる誰かの、こんなオヤジが、こんなタワゴトをほざいているので確かめて、てな番組への投稿に
期待するばかりである。トホ。



映画「監督の恐怖心から生まれる、間の欠落」

M1グランプリで準優勝となったスリムクラブ。
彼らの漫才の最大の特徴は、その長~い「間(ま)」。スベりたく無いという恐怖心に駆られて、速射砲のごとくボケと突っこみをを繰り返すいまどきの漫才とは一線を画している。モダンで、不条理演劇のごとき趣がある。
そう云えば、かつての松竹新喜劇(不条理演劇の真逆だが)、藤山寛美の間もすごかった。長台詞のあとにふっと訪れる間。
その間が観客の笑い、涙、溜息を支配していた。
もちろん彼らスリムクラブは、そんな域にはほど遠いが、若者に受け入れられ、私のような世代にも理解できる存在は貴重だ。
さて、映画だが、昨今の日本映画にも「間」が欠落している作品が多いと思う。それは特に若手、中堅監督の作品に顕著で、客の気を削いではならじと、わめく、吠える、倒れこむ、過剰演技のオンパレだ。情をシーンの積み重ねで観客の心に染み込ませるということができず、短絡的な台詞を雨あられと投げつけて来る。今の観客には台詞にしないとわからない、感情はボディアクションが伴わなければわからない。そんな恐怖に近い思い込みに支配されて、脚本はト書き少々と山ほどの台詞で埋め尽くされて行く。かくして、テレビのお手軽ドラマそのままの作風が大型スクリーンに吹き荒れることとなる。若手、中堅監督のみなさん、物語のはじまりから終わりまで、1時間半から2時間にも及ぶ時間が与えられているのだから、もう少し落ち着いて演出しようよ、と言いたい。そんな彼らに、爪の垢ならぬ映画の垢でも煎じて欲しい作品がある。(ちょっと文脈がヨレてますが) 

「グレートウォール」 1987年 100分 アメリカ
北京にサンフランシスコから30年ぶりに帰郷した中国人一家の姿を、ピーター・ワンが監督・脚本・主演を一手に引き受けて
コミカルに描く。何しろ本人の体験談なのでそれもありかと思うが、器用な男ではある。容貌や雰囲気が平田満によく似ている。アメリカ映画なのでかなり楽天的な雰囲気が支配しているが、映画公開の二年後に天安門事件が起きている。世情はこんなにのんびりしたものではなかったのかも知れない。エンドロールでピーター・ワンが太鼓を叩きながら民謡を歌っているのだが、なんとも気持良さそうである。

「風の丘を越えて/西便制」 1993年 113分 韓国
時代は1960年頃、韓国の伝統芸能、パンソリ(浪曲のようなもの)を糧として、各地を流れ歩く旅芸人親子の物語。劇中歌われるパンソリは凄絶で、胸を打つ。一時、消滅しかっかっていたパンソリは、この映画をきっかけに復活したときく。ストーリーは
悲惨きわまりないのだが、急がずあわてず、ちゃんとした間合い、巧みな演出と演技は、観る者に不快感を与えない。
その分上映時間はとチト長い。

「山の郵便配達」 1999年 93分 中国
1980年代の中国の険しい山岳地帯を受け持つ初老の郵便配達人とその息子、そして、お供の犬の物語だ。長年勤めてきた仕事を息子に引継ぐ最後の郵便配達行が淡々と描かれている。近代化の埒外にある地域の自然の美しさ、農村の貧しさ、民族の多様性もよくわかる。派手さこそないが(実はワン!シーンある)、心にしみる秀作だ。チャン・イーモウ監督の「あの子を探して」をしのいで、1999年の中国金鶏賞作品賞、主演男優賞に輝いた。

3つの作品に共通するのは、作品ごとに趣は違うが、必要最小限の台詞で醸成された静謐感だ。それが、現実社会のリアル感ではない、映画としてのリアル感で観客をドラマに浸らせ酔わせる。
少しばかり昔の映画なのでご覧になっている方も多いと思うが、私はこれらの作品を永久保存版として、何年かに一度観ている、というか、観たくなってしまう。

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プロフィール

テッペン爺

Author:テッペン爺
昭和22年(1947年)
京都に生まれ、
芦屋に育ち、大阪を経て
現在は芦屋に在住。
身長178㎝ 体重75㎏
販促企画のプランナーとして
適度に活躍(?)して33年。
現在に至る。

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